高嶺さおり、眼鏡から離れる。後編
「じゃあ、右目からいれていきます。出来るだけ力をいれないようにだけ、専念して下さい。…………まぶた、閉じちゃってますよー、力抜いてー。…………はい、ピクピクしないでー。…………ん〜、怖がってますねー。閉じないで閉じないでー」
無理です。だって怖いもの。目、触られちゃうんですよ? 怖いに決まっとりますです。背中、嫌な汗でびしょびしょでした。
「GWまでに一人でつけ外し出来るようにならなきゃいけないんでしょ? だったら今日頑張らないと!」
そうです。楽しいGWのため、カワイイお洋服のため、私、頑張らねば!
で、三十分後。「やっと右目入りましたよ。鏡見てみてください。全然違うでしょ?」
すごいです! 黒目の大きさが明らかに違う! ていうか私、眼鏡無しで目が見えてる! 視界も広い!カラコン、大正解の予感がs
「はいじゃあ、左目いきますね」
(´・ω・`)ソーデシタ
右目でちょっと慣れたのか、たまたまなのか、左目は割とスムーズにはいりました。
「おー……」
先ず、異物感が無いことに驚きました。まつ毛が入っただけであんなに痛いのに、あんなに大きいものが入って平気とは……謎です。それに視界、広いです。眼鏡だとどうしても端が切れちゃうんですけど、コンタクトにはそれがない。しかも、黒目まで大きくなるという魔法つき。かがくのしんぽってすごいなー。
「じゃあ、つけたままで検査や診察を受けていただきます。こちらへどうぞ」
検査を一通り終えて診察室へ入ります。
「さおりさん、結構乱視あるみたいだけど、今平気? カラーコンタクトは乱視対応してないんですが」
そう言われると、確かに眼鏡の視界からは違和感がある気がします。
「そうだよねぇ、まぁ充分視力は出てるみたいだし、趣味のときだけなら大丈夫、かな……どんな趣味か教えてもらえますか?」
( ゚д゚)
「えー……(汗) この写真、私なんですけど……」
「( ゚д゚)……なるほど、確かに視力は関係ない趣味ですね、はい。では、このレンズで進めていきましょう。次の診察では自分でつけ外しを行なってもらいますので、指を目に近づける練習をしてみてください」
「あ、ハイ」
「じゃあレンズ外してもらって、今日は帰って下さいねー。」
……忘れてた。
「じゃあ目を大きく開いて下さいねー」
外すときは一瞬でした。こう、ガッといってプリッと出す! みたいな。ある種の強引さと熟練の技が見え隠れします。
そして、次の診察日です。
「今日は、自分でレンズをいれたり外したりする練習をしましょう。コレが出来ましたら、お試しのレンズを何日分かお渡しできますので、頑張りましょうね」
とうとうこの日がやって来ました。一応指を目に近づける練習はしてきましたが、不安です。
「右目は右手で、左目は左手でいれます。まずは利き手からいきましょうか。人差し指の先にレンズを乗せて、左手でガッと思い切り目を開き、そこへいれていきます。まぶたやまつ毛に当たらないよう、注意して下さい」
ゆっくり指を目に近づけていきます。
「目が細くなってますよー、レンズは黒目より大きいですから、それじゃ絶対入りません。もっと思いっきり開けないと!…………そうです。そう! その状態でレンズを…………あー、閉じない閉じない! …………一気に行きましょう、一気に! 時間をかけると閉じちゃいますから」
一度指を離し、深呼吸をします。うん、生まれて初めてこんなに目を触りました。以外と大丈夫なんだなぁ。
「んー、どうも開きが甘いですねぇ。……じゃあ今度は斜めにいれてみましょうか。最初に上半分をいれて、次に下半分を入れる感じで…………そう、そうです。入ってます、入ってますよ!じゃあゆっくり目を閉じて、ゆっくり開きます……はい、入りましたね。コツは分かりましたか? じゃあ、次は左目いきましょう! 」
そんなこんなで、いれるほうは何とかなりました。
「では、外して行きましょうか。レンズの端から中心に向かって軽くつまんで下さい…………あー、惜しいですよ。その感じです。すぐ外せそうですね」
すみません。両目で一時間かかりました。
付けるのはすっとのせて軽くペタッとする感じですが、外すときは結構ギュッとつまむ必要があって、それが抵抗あるんですね。多分。
「時間をかければ、付けるのも外すのも出来そうですね。次の診察はGW明けになりますが、それまでに三、四日分くらいお試しでお渡ししておきますね」
何はともあれ、高嶺さおりはカラーコンタクトレンズを手に入れました! おかげさまで、楽しいGWを迎えることができたのでした。
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